2024/3/19
早漏の原因と治し方、クリニックでの治療法を医師が解説
射精までの時間が極端に短い「早漏」は、パートナーを満足させることができず、男性にとってもつらい悩みの一つです。
早漏の症状を改善するには、原因に合わせた治療が必要です。
この記事では、早漏の種類と原因、原因別の治し方について詳しく解説します。
早漏の定義
早漏とは、「射精までの時間が極端に短いこと」を指します。
明確な定義があるわけではありませんが、近年では、国際性機能学会(ISSM)が発表した以下の目安に従って診断されるケースが多いようです。
- ほぼ毎回、挿入前、あるいは挿入後1分以内に射精してしまう
- 膣挿入した後に射精をコントロールできず、女性を満足させられない
- 射精までの時間が短いことで、パートナーとの関係悪化などネガティブな影響がある
当院では、以下の条件のいずれかを満たした状態を「早漏」と診断し、適切な治療を行うようにしています。
- 膣内挿入後、射精までに要する時間が2分以内
- 膣内への挿入前、挿入途中、挿入後の時点で、本人の意思に反して最小の性的刺激で射精してしまうことが反復ないしは持続する
- 早漏により人間関係の問題や精神的苦痛を引き起こしている
- 射精のコントロールが不能
早漏の種類
早漏には、「原発性早漏」と「続発性早漏」の2種類があります。
原発性早漏
原発性早漏は、「生まれながらに早漏」というタイプです。
初めての性体験のときから早漏気味であり、それがずっと続いているという場合は、原発性早漏を疑いましょう。
原発性早漏は、脳の病気です。
生まれながらに早漏の方は、射精を抑える作用を持つ脳内の神経伝達物質(セロトニン)がうまく機能していない可能性があります。
続発性早漏
続発性早漏とは、「もともとは早漏ではなかったのに、年齢を重ねてから早漏になってしまった」というタイプです。
早漏になる原因は人それぞれに異なりますが、精神的な原因による「心因性早漏」や加齢による筋肉の衰えが原因の「衰弱性早漏」などが考えられます。
早漏の原因
早漏の主な原因としては、以下のいずれかが考えられます。
心因性早漏
心因性早漏は、精神的な原因によって起こる早漏です。
以下のような方の場合、心因性早漏が疑われます。
- 恐怖心やトラウマなど、性行為に対するマイナスなイメージがある
- 性行為を長期間していない
- 仕事が忙しく、ストレスが溜まっている
- マスターベーションが十分に(リラックスして)できていない
- パートナーとの関係が悪化している
仕事が忙しくて疲れている、精神的なストレスを抱えているなどの場合はもちろん、パートナーとの関係悪化が早漏を引き起こすこともあります。
心や体がストレスを感じると、セロトニンが不足し、射精をうまくコントロールできなくなります。
過敏性早漏
過敏性早漏は、陰茎周辺の神経が過敏になってしまうことで起こる早漏です。
以下のような方の場合、過敏性早漏が疑われます。
- 年齢が若く、性行為の経験が少ない
- 性欲が強い
- 間違ったマスターベーションを繰り返している
過敏性早漏の場合、わずかな刺激でも本人の意思に反して射精してしまうため、満足な性行為が難しくなります。
衰弱性早漏
衰弱性早漏は、加齢による筋力の低下を主な原因とする早漏です。
射精管閉鎖筋という筋肉が弱まることで射精をコントロールできなくなり、早漏の症状があらわれます。
以下のような方の場合、衰弱性早漏が疑われます。
- 若い頃は早漏ではなかった
- 年齢を重ねるごとに射精までの時間が短くなった
- 運動不足である
衰弱性早漏は、40代〜60代の男性に多いと言われています。
ただし、デスクワーク中心で運動する機会がない方は、筋力が落ち、若くても衰弱性早漏になる場合があるので注意しましょう。
包茎性早漏
包茎性早漏は、わずかな刺激でも射精してしまう過敏性早漏の一種です。
包茎の方は亀頭が覆われているため、少しの刺激にも敏感に反応してしまう傾向にあります。
以下のような方の場合、包茎性早漏が疑われます。
- 包茎で、亀頭への刺激に慣れていない
- ちょっとした刺激で射精してしまう
早漏の治し方【原因別】
早漏を治し、射精までの時間をコントロールできるようになるためには、原因に合わせた適切な対処が必要です。
続いては、早漏の治し方について解説します。
心因性早漏の治し方
精神的な要因によって起こる心因性早漏には、行動変容療法が有効だとされています。
行動変容療法では、具体的に以下のような治療を行います。
- カウンセリングによって不安を取り除く
- 医師が射精を遅らせる方法を教える
もちろん、症状に合わせて早漏治療薬やED治療薬が処方されることもあります。
また、心因性早漏の場合、性行為中に体位を変えてみるのも有効です。
例えば、男性上位の正常位は陰茎への刺激が強く、早漏になりやすいと言われています。
女性上位の正常位や後側位(寝バック)など、陰茎への刺激が抑えられる体位に変えることで、射精時間をうまくコントロールできるようになるかもしれません。
性行為中に体位を変えることで、パートナーにも喜んでもらえる可能性もあり、一石二鳥です。
過敏性早漏の治し方
「性行為に慣れていない」「経験が少ない」という過敏性早漏の方には、スクィーズ法やセマンズ法など、早漏改善のためのトレーニングをおすすめします。
スクィーズ法は、自宅で1人でできる早漏改善トレーニングです。
マスターベーションの際、射精しそうになったら亀頭の付け根あたりを押さえて、射精を我慢します。これを繰り返し行うことで、射精の感覚をつかむことができ、コントロールしやすくなります。
セマンズ法は、パートナーの協力が必要な早漏改善トレーニングです。
パートナーに勃起させてもらい、射精しそうになったら刺激を止めてもらいます。
セマンズ法もスクィーズ法と同様に、射精の感覚をつかみ、コントロールするのが目的です。
それぞれの早漏改善トレーニングの詳しいやり方はこちら>
また、陰茎への刺激を抑えるために、厚手のコンドームを使用するのも一つの方法です。
一般的には0.01mm〜0.02mmといった薄めのコンドームを選ぶ方が多いですが、早漏を治したい方は、厚さ0.03mm以上のコンドームの使用をしましょう。
なかには0.1mm以上の厚手のコンドームを販売しているメーカーもあります。
厚手のコンドームには装着しやすいというメリットもあるため、性行為の経験が少なく、コンドームの扱いに慣れていない方にもおすすめです。
衰弱性早漏の治し方
加齢や運動不足による筋肉の衰えが原因の衰弱性早漏を治すには、筋トレをするのがおすすめです。
なかでも、肛門と睾丸の中間あたりにある骨盤底筋を鍛えると、射精をコントールできるようになると言われています。
そこで効果的なのが、ゲーゲル体操です。
ゲーゲル体操は、アーノルド・ヘンリー・ケーゲル氏(アメリカの産婦人科医)が、尿もれや尿失禁に悩む妊産婦向けに考案した体操ですが、早漏やEDに悩む男性にも良いとされています。
ゲーゲル体操のやり方は、肛門を引き締めて10〜20秒キープするというものです。
1日3~10セットを目安に継続して取り組むことで、勃起力の向上や射精をコントロールする力を養います。
早漏改善に効果が期待できるゲーゲル体操の詳しいやり方はこちら>
包茎性早漏の治し方
包茎性早漏の場合、包茎を治療すれば、射精までの時間をコントロールできるようになる可能性が高いです。
包茎の方が早漏になりやすいのは、亀頭への刺激に慣れていないからだと考えられます。
そのため、治療によって亀頭が常に露出されている状態を作り、次第に亀頭への刺激に慣れていくことで、早漏を改善できるかもしれません。
包茎は、手術によって治療するのが一般的です。
手術といっても大がかりなものではなく、局所麻酔で20〜30分程度の短時間で済みます。
最近では、薬剤による「切らない包茎治療」を行っているクリニックも増えてきており、包茎治療のハードルは低くなっています。
早漏の治療は専門クリニックで
早漏の原因にはさまざまな種類があります。
症状を改善するためには、原因に合わせた治療が必要となるため、安易に自己判断せず、まずは医師に相談するのがおすすめです。
続いては、専門クリニックで行われている早漏の治療法について説明します。
早漏治療薬の処方
早漏治療を専門的に行うクリニックでは、症状に合わせて早漏治療薬が処方されることがあります。
一般的に用いられている早漏治療薬は、以下の2つです。
【ポゼット】
- 内服薬
- ダポキセチンを主成分とする早漏治療薬「プリリジー」のジェネリック薬品
- 平均で4倍ほどの勃起持続効果があるとされる
- 薬剤の分類はSSRI(選択式セロトニン再取り込み阻害薬)
- 服用してから1時間~1時間半ほどで効果が表れる
- 持続時間は2〜5時間
- 食事の影響を受けない
【リドスプレー】
- 外用薬
- 主成分はリドカイン(局所麻酔薬として使用されている成分)
- 麻酔効果で感度を低下させ、早漏を改善させる
- ペニスに直接噴射し、シャワーで軽く洗い流す
- 効果持続時間は2時間程度
SSRIは、通常うつ病などの精神疾患の治療に用いられている薬剤です。
SSRIの中でも、早漏治療薬として適応するのはダポキセチンだけです。
リドスプレーは、ペニスに直接噴射して使用する早漏治療薬です。感覚を伝達する神経の働きを抑える局所麻酔効果が期待できます。
ポゼット、リドスプレーについて詳しくはこちら>
ED治療薬の処方
ED治療薬は、早漏の治療にも効果があるとされています。
実際に、早漏の男性を対象とした研究では、以下のような結果が出ています。
- 8週間のED治療薬の服用により、平均挿入時間が3.9分アップした
- ED治療薬の服用をやめて4週間が経過した後も、早漏が改善された
なお、この研究において用いられたのは、バルデナフィル(レビトラジェネリック)というED治療薬です。
ED治療薬の作用は基本的に「血管を拡張させて勃起しやすい状態を作ること」であり、この部分に関して薬による大きな違いはありません。
そのため、レビトラジェネリック以外のED治療薬を服用した場合においても、早漏改善の効果は十分に期待できます。
また、ポゼットやリドスプレーといった早漏治療薬は、ED治療薬との併用も可能です。
早漏治療薬とED治療薬の併用することで、相乗効果による早漏改善も期待できるでしょう。
ただし、いずれの薬剤も自己判断での服用はおすすめしません。
必ず医師による診察を受け、症状に合わせた適切な薬を処方してもらいましょう。
早漏は原因によって治し方が違う!専門クリニックの治療法がおすすめ
早漏の治し方は、原因によって異なります。
そのため、専門クリニックでは、早漏治療薬やED治療薬の処方など、原因と症状に合わせた治療が行われているのです。
ユニティクリニックでも、内服タイプの早漏治療薬「ポゼット」や、陰茎に直接噴射するタイプの「リドスプレー」を処方しております。
症状によっては、ED治療薬の処方も可能です。
男性医師との音声通話によるオンライン診療なら、直接顔を合わせてお話しいただく必要もございません。
10分程度の電話でお薬の処方が可能です。
オンライン診療のご予約はWEBの専用フォームまたはお電話にて受付しております。
早漏にお悩みの方、早く治したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修者
院長 髙嶋 政浩
平成元年 | 杏林大学医学部医学科卒業 |
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平成元年 | 杏林大学医学部附属病院 |
平成8年 | 西部総合病院皮膚科・形成外科部長 就任 |
平成12年 | 大手美容外科クリニック |
令和3年 | ユニティクリニック |