2024/2/26

プリリジーとは？早漏治療薬とED治療薬の併用効果を徹底解説

ED診療ガイドライン（※1）によると EDの有病率は日本人の34.5％、約3人に1人がED発症とされ身近な病気となっています。そして ED患者3人に1人が早漏を併発していると言われています。本コラムでは早漏単独ではなく、身近になったEDと密接に関連している早漏の治療について解説いたします。

（※1）→ED診療ガイドライン第3版 (jssm.info)

1．早漏とは　→詳しくは（※2）

早漏（PE premature ejaculation）とは、当事者の想定以上に射精が早く、挿入前や挿入直後に射精が起きる常態をいいます。

（※2）→早漏治療について

【定義】

〔国際性機能学会（ISSM）〕
早漏の定義は、国際性機能学会（ISSM）によって2008年5月に下記のように発表されコンセンサスになっています。

・挿入前後や挿入時 1分以内に射精してしまう　

・射精のタイミングを自分でコントロールできない　

・早漏が原因で精神的苦痛を感じネガティブになっている

〔相対的早漏〕
国際性機能学会の定義は目安になりますが絶対的定義とは言えませ ん。例えば男性は3分以内の射精で満足しても、パートナーが10分程度の挿 入時間を求めている場合、挿入満足時間が相違し不満足が発生します。このように早漏には相対的な性質があります。

【分類】

早漏には下記の分類と種類があります。

〔原因による分類〕
〈過敏性早漏〉陰茎が敏感すぎるタイプの早漏です。性的な刺激が脳から伝達されてから、カラダが反応するのが通常の射精ですが、過敏性早漏の場合、外からの刺激だけで脊髄末端の射精中枢が反応し、一気に興奮の頂点に達して射精してしまいます。反射刺激的に反応してしまう過敏性早漏は、若い方に多いと言われています。また自慰行為を早く済ませるために、すぐ射精をする習慣がついてしまっている場合にもこの症状が発症しやすいとされています。包茎で亀頭への刺激に過敏になっている場合もあります。

〈心因性早漏〉体調不良ではないのに、射精コントロールがきかない場合、ノルアドレナリンを制御し精神を安定化させる働きをするセロトニンが不足し早漏を発症している可能性があります。セロトニンは、過度な興奮・極度の緊張がある場合に、脳内で不足する神経伝達物質です。心因性早漏の場合、性行為に関するストレスやトラウマが原因でセロトニンの分泌量が減少し、射精を早める要因となるノルアドレナリン分泌が活発化します。過去の失敗や、性行為の経験不足などによる焦りや不安、女性に対する抵抗感などが神経に影響を与えていると考えられます。

〈衰弱性早漏〉男性には、PC筋（射精閉鎖筋）という筋肉があります。この射精や排尿にかかわるPC筋が加齢により筋力が衰えるため、高齢者が排尿を我慢できなくなるように、射精も我慢しづらくなります。40代、50代の中年以降の早漏に多く見られる症状といわれています。

〔発生起源による分類〕
〈終生早漏lifelong type〉初めての性行為から早漏症状があり、一度も改善したことのないものを指します。
〈後天的早漏acquired type〉初めはなかった早漏症状が「特定の原因」によって新たに生じたものを指します。「特定の原因」としては、長期禁欲期間後、過度の性的興奮、加齢、疲労、ED（勃起障害）、不安・イライラ・ストレス、早く射精する習慣、パートナーからの要望などがあります。

【EDとの合併症】

早漏は射精に関する障害で、男性機能障害の一種です。男性機能障害の一つにEDがありますが、 EDを患っている方の3分の１が早漏症も合併しているといわれています。EDの傾向がある方には、勃起維持ができない不安から射精ができないかもしれない不安が大きくなり、精神的に追い立てられることがあります。そのため、もともと早漏ではなかったのに、EDの不安を感じ始めてから早漏気味になる方も少なくはありません。

2．主な早漏治療

【服薬治療】

〔早漏治療薬プリリジー〕
性的な興奮を抑制する効果がある服用タイプの医薬品で有名なのが「プリリジー」です。強いストレス・興奮等によりノルアドレナリン濃度が高まります。このノルアドレナリンの働きを抑制し、不安・興奮を抑えるセロトニンを増加させるダポキセチンを配合し、2009年に世界で初めて早漏防止に効果がある内服薬として開発された画期的な早漏改善薬です。現在、多くの国で普及しており、その高い効果や安全性から高い人気を獲得しています。なお、プリリジーのジェネリック医薬品にポゼットがあり、同成分・同等効果かつ低価格で入手することが可能であるため当院ではポゼットを処方しています。

（※3）→ダポキセチンについて

〔プリリジーの効果〕
海外ではプリリジーの臨床試験がおこなわれており、被験者のELT（ejaculation latency time膣内挿入から射精までの時間）は、治験開始前に計測すると平均54秒でした。プリリジー60mgを初回服用時の効果はELTが平均2.5分（開始前54秒の2.8倍）に大幅に延長した結果が出ています。更に24週間と性行為時に継続的にプリリジー60mgを服用した結果、平均ELTは 3.9分と、治験開始前54秒と比較すると3倍以上になっており、継続的に服用することで、効果が増強することが分かっています。射精のコントロールが出来ず、射精に至るまでの時間が短いとパートナーが満足しているか不安になることで、心因性のEDに繋がる原因にもなり得ますので、早漏の改善によるEDの予防・改善も期待できます。

〈効果の発現〉プリリジーは服用してから1時間ほどで効果が発現し、更に30分後に効果がピークに達します。その後は5時間ほど効果が持続しますので、事前に飲んでおくのが良いでしょう。

〈服用〉プリリジーは性行為の1時間半前に服用すると、最大の効果を発揮した状態で性行為をすることができ、コップ1杯程度の水、もしくはぬるま湯にて飲みましょう。

〈食事の影響〉プリリジーは食事の影響を受けないので、食前、食後など好きなタイミングでの服用が可能ですが、4～6時間以上水分を取っていないなど、身体が脱水している状態は避け、しっかりと水分補給をしましょう。

〈アルコールの影響〉プリリジーを服用する際はアルコールの摂取は避けてください。アルコールとプリリジーの組み合わせは、アルコールに関連する神経認知効果を増加させ、また失神などの有害な神経心臓発作の影響を増大させる可能性があり、障害のリスクが増大する危険性が高まります。プリリジーはアルコールを飲んでいない状態の方が、効果を正しく引き出すことが出来ます。

〈主な副作用〉主な副作用は、頭痛、睡眠障害、めまい、嘔吐、下痢、疲労感、ねむけ、のどの渇き、嘔吐、下痢などです。成分は1日掛からず、体内から排出される安全性の高い薬です。多くの場合は時間とともに症状は緩和されますのでご安心ください。もし 副作用の症状が、服用後24時間以上続く場合はかかりつけの医師に診断を受けてください。

〈注意事項〉医薬品ですので持病、既往症、服用薬によっては服用できない場合がありますので、必ず医師の診断の下で服用ください。個人輸入は避けましょう。

〔早漏治療薬の正規の入手方法〕
早漏治療薬であるプリリジー、ポゼット（プリリジーのジェネリック薬）は海外の多くの国では承認薬となっていますが、日本では国内未承認薬です。したがって入手するには、厚生労働省が認める正規の入手ルールに従う必要があります。厚生労働省のルールでは「医師の判断に基づき輸入し、医師の処方による入手」が認められており、当院もこのルールに従った診療・処方を行っております。（※4）なお、医師の判断がない個人輸入は偽薬・不純物混入等のリスクがありますので避けましょう。

（※4）→安全性・有効性・経済性に配慮したバイアグラの入手方法を解説

【局所麻酔】

陰茎の敏感な部位に塗布することで、一時的な神経麻痺で性的な刺激を緩和し、すぐに射精しないように感度を鈍らせるタイプの早漏治療薬です。知名度の高いリドスプレー（※5）は、局所麻酔薬の成分「リドカイン」を主成分とした早漏治療薬です。これにより、男性自身はもちろん、お相手の方も満足のできる性行為を実現できるでしょう。使い方も陰茎に直接スプレーするだけのため、手軽に利用できます。さらに外用薬のため、安全性も高いというメリットもあります。なお、リドスプレーも国内未承認薬となりますので、当院では厚生労働省の認める安全な正規の入手ルールに従った医師の診療に基づく正規の処方になります。医師の判断がない個人輸入は偽薬・不純物混入等のリスクがありますので避けましょう。

（※5）→リドスプレーについて

3．EDと早漏の合併症治療

【EDと早漏が合併する理由】

〔陰茎の硬度不足〕
陰茎は硬度が保たれていると感度が鈍くなることが知られており、逆にEDになり陰茎の硬度が不足すると感度が上がり射精までの時間が早まります。

〔勃起維持不安と射精の焦り〕
EDの方は陰茎の硬度が不足するため硬さを維持しようと必要以上に激しく運動して過剰刺激となったり、陰茎の硬さが十分なうちに早く射精しようと焦りが生じたりして、その刺激と焦りによりEDと早漏が合併症になるとされています。

【ED薬による早漏治療】

上記の理由から、EDと合併した早漏には ED薬を服用することで、陰茎の硬度維持と勃起・射精の成功体験の積み重ねが期待できます。これにより陰茎の硬度維持と硬度不足の不安が解消し、早漏の改善が期待できます。

【早漏治療に合うED薬】

代表的なED薬の特徴は、強い勃起効果はあるが即効性に劣るバイアグラ、強い勃起効果と即効性が両立したレビトラ、勃起効果と即効性に劣るが持続力に勝るシアリスがあります。この3種類について陰茎の硬度を上げる勃起効果がありますので、陰茎の硬度不足により発症する早漏の改善効果を期待できます。強いて優先順位を付けるならば、勃起効果が短時間で明確に体験できた方が早漏改善効果が期待できるので、3種類では、勃起効果が明確で即効性が最も高いレビトラを服用されることをお勧めします。

【ED治療薬の早漏改善事例】

〔研究報告〕
早漏症のうち終生早漏lifelong type（初めての性行為から早漏症状があり、一度も改善したことのない早漏）に対して、各ED治療薬がどの程度の早漏改善効果を発揮するのかを調べた研究が2011年4月に発表されました。（※6）上記研究によれば、バイアグラ（50mg）、シアリス（20mg）、レビトラ（10mg）、プラセボ（偽薬）のいずれかを飲ませた被験者群（各薬剤群20人ずつで、合計80人）のELT（ejaculation latency time勃起してから射精するまでの時間）をストップウォッチを使って計測したところ、プラセボ（偽薬）群の平均が 48.5秒＜バイアグラ群が 53.5秒＜シアリス群が 70.0秒＜レビトラ群が 82.5秒だったと報告しています。

〔研究の解釈〕
研究者らはこの結果からレビトラが3種類のED治療薬の中で最も高い早漏改善効果をもつと結論付けています。また、レビトラは本研究では10mg錠を使用していますが、 20mg錠に変更すれば、さらに強い早漏改善効果が期待されます。一方、バイアグラ50mg、シアリス10mg、レビトラ10mg、が一般的には同ランクの強さ（中等症ED患者向け）の薬剤なのですが、本研究ではシアリスだけ重症ED患者向け20mg錠を使用しています。仮に本研究でシアリスを20mgではなく10mgに弱めた場合、バイアグラ50mgがシアリス10mgを上回る可能性もあったため、 2番目に早漏改善効果が高いのがバイアグラなのかシアリスなのか判断はできません。

（※6）→Gokce A, Halis F, Demirtas A, Ekmekcioglu O. The effects of three phosphodiesterase type 5 inhibitors on ejaculation latency time in lifelong premature ejaculators: a double-blind laboratory setting study. British Journal of Urology Int. 2011 Apr; 107(8): 1274-7.

《最後に》

当院は、ED・早漏・AGAの男性専門のクリニックで、10年以上の診療実績、60万件以上の診療件数のあるユナイテッドクリニック・グループに所属しております。ユナイテッドクリニック・グループでは豊富な治療経験に基づく安全性・有効性・経済性に配慮したED薬治療（※7）を目指しております。勃起力・早漏にご不安を感じた際には、お一人で悩まず、当院の専門医師に、お気軽にご相談ください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。

（※7）→安全性・有効性・経済性に配慮したバイアグラの入手方法を解説