2024/4/5
糖尿病とEDの関係は?改善や治療の方法についても徹底解説
1.EDと糖尿病の関係
【糖尿病性EDとは】
糖尿病性 EDとは糖尿病による勃起障害のことで、性的刺激で十分満足できる硬さの勃起、またはその維持が得られない状態のことです。
【糖尿病性EDの発症リスク】
糖尿病はインスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気です。血糖濃度が高いままで長期間放置されると血管が傷つき、心臓病や、失明、腎不全など全身において重度の疾病発症リスクが高まります。そのため、糖尿病はEDとの関連性も高い病気の一つとされています。米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)の調査では、糖尿病のある男性は糖尿病のない男性に比べ、ED を発症するリスクが2~3倍高く、また糖尿病の男性は、糖尿病のない男性よりも10~15年早くEDを発症する可能性があると報告されています。(※1)
(※1)→糖尿病、性、膀胱の問題 - NIDDK (nih.gov)
【糖尿病性EDの発症原因】
勃起をするには、自律神経と陰茎海綿体平滑筋の働きが重要です。しかし糖尿病を患うと、高血糖の状態が続くために、自律神経に支障が生じ、血管障害とともに勃起機能が低下します。また性的欲求や感度も弱まってしまいます。糖尿病によるEDの主な発症原因は以下のとおりです。
〔原因1:神経障害〕
勃起は、脳で感じた性的刺激が陰茎に伝わることによって起こりますが、糖尿病によってその神経回路に障害が生じやすくなり、EDを誘発します。
〔原因2:海綿体の機能不全〕
陰茎海綿体平滑筋が弛緩し、陰茎海綿体への動脈流血が増加し勃起に至ります。しかし、糖尿病により、陰茎海綿体動脈などの内皮細胞において「内皮型一酸化窒素合成酵素」の活性が低下することで、陰茎海綿体平滑筋の弛緩が起こりにくくなり、EDを誘発します。
〔原因3:動脈硬化〕
動脈硬化とは、動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして血管本来の働きが悪くなる状態をいいます。内腸骨動脈から陰茎動脈にかけて硬化が生じると、勃起機能の大幅な低下につながります。また陰茎海綿体の毛細血管は、体の中でも特に細い血管で、動脈硬化により、血流が最も低下しやすい血管のため、EDを誘発します。
【糖尿病性EDの分類(※2)】
混合性EDとは、器質性ED、心因性EDなどの複数の原因で起こるEDです。糖尿病性EDの場合、器質性EDと心因性EDが複合作用した混合性EDが多く見られます。
〔器質性ED〕
上記の原因1~3のような身体的な原因から生じるEDを「器質性ED」と呼びます。この器質性EDは次のように分類されます。
〈血管障害による血管性ED〉加齢や糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病に起因
する動脈硬化、前立腺がんや前立腺肥大の外科的手術による陰茎付近の神経や血管の
損傷などの血管障害によるEDをいいます。糖尿病性EDが該当します。
〈神経障害による神経性ED〉不慮の事故による脊椎などの脳から陰茎までの伝達神経の
損傷等による神経障害によるEDをいいます。
〈内部分泌機能低下によるED〉加齢やストレス、喫煙、飲酒などによる男性ホルモン(テ
ストステロン)の低下等の内部分泌機能低下によるEDをいいます。
〔心因性ED〕
勃起できないことなどによる精神的ストレスが原因となって発症するEDを 「心因性ED」といいます。勃起が満足にできないことが、更なるストレスやプレッシャーとなり悪循環に陥るケースも珍しくありません。
〔混合性ED〕
糖尿病性EDは、器質性EDと心因性EDが複合した混合性EDとして発症することが多く、加齢などに対する身体機能改善だけでなく、メンタル面の改善のためにカウンセリングが必要となる場合があります。
【糖尿病性EDになりやすい方の特徴】
特徴は以下のとおりです。該当しないように心がけましょう。
〔乱れた生活習慣の方〕
・栄養バランスの良い食事を心掛けていない
・暴飲暴食をしている
・運動をしない
・十分な睡眠が摂れていない
・ストレスを溜め込んでいる
・過度な飲酒をしている
・過度な喫煙をしている
〔高齢の方〕
〔血糖値の管理をしてない方〕
〔長く糖尿病を患っている方〕
〔糖尿病の合併症や動脈硬化がある方〕
【糖尿病性EDの発症リスク判定】
糖尿病による血管機能の劣化・老化を原因としてEDが誘発されます。それでは、血管機能の劣化・老化によるED発症リスク度を自己判定する方法はあるのでしょうか。簡易な方法として、「朝立ち」の頻度が参考になります。男性は、入眠中に自律神経が乱れて、何度かの勃起を繰り返しています。この症状は「夜間睡眠時勃起」(nocturnal penile tumescence、NPT)と呼ばれています。そして、勃起したその状態で目が覚めた時が、「朝立ち」という現象です。夜間睡眠時勃起は入眠中に繰り返し起きますが、「朝立ち」回数は、加齢により回数が減少します。それは血管の劣化・老化が進行しているサインといえるでしょう。血糖値が高い中高年男性で、週に1度も「朝立ち」が無い場合は、血管の劣化・老化懸念、糖尿病性ED発症懸念があるといえるでしょう。
2.糖尿病性EDの治療
糖尿病性EDは心因性EDと器質性EDが複合作用した混合性EDが多いといわれています。本コラムでは、器質性ED面における糖尿病性ED治療について説明いたします。
なお、糖尿病性ED治療の大前提として主治医の下での糖尿病治療と生活改善(※3)は必要です。
(※3)→ED予防に効果的な生活習慣7選!取り入れたい食事や運動まとめ、EDは食事改善で治る?医師が教えるおすすめの食べ物とNGな食べ物
【ED治療の大別】
EDの治療として、「身体に注射やメスを入れない治療」と「身体に注射やメスを入れる治療」があります。「身体に注射やメスを入れる治療」は身体的負担が大きく身体的損傷リスクもあることから、当院では「身体に注射やメスを入れない治療」を行っております。本稿では「身体に注射やメスを入れない治療」について説明いたします。
【従来からのED治療】
〔血糖コントロール〕
糖尿病による長期間の高血糖状態は、血管や神経に損傷を与え、EDの直接的な原因となりえます。したがって、血糖値を適切に管理することは、血管や神経の損傷を最小限に抑え、EDのリスクを減らすために不可欠です。血糖コントロールは、医師の指導の下で食事の管理、定期的な運動、必要に応じた薬物治療などを通じて行われます。(※3)
〔ED治療薬の服用〕
血糖コントロールだけでは改善が見られない場合、ED治療薬の服用も選択肢に入ります。ED治療薬はペニスの血流を改善し、勃起を促進することを処方目的としています。主に、PDE5(フォスホジエステラーゼタイプ5)阻害薬と呼ばれるバイアグラ、レビトラ、シアリスなどのED治療薬が使用されます。PDE5阻害薬は、陰茎の平滑筋の弛緩を促し、血液の流入を容易にし、勃起を促進します。しかし、ED治療薬の服用にあたっては、持病や服用薬との相性が良くない場合がありますので医師の指導のもとで安全に服用することが重要です。(※4)また、ED治療薬は糖尿病性EDの症状を緩和するものの、根本的な血糖コントロールや生活習慣の改善(※3)も並行して行うことが、長期的な健康管理と症状の改善には不可欠です。
(※4)→ED治療の安全性や有効性は?当院の取り組みを徹底解説
【薬に頼らない新ED治療】
糖尿病性EDの特徴としてED薬による勃起効果が発揮されにくいという特徴があるため、近年、ED治療薬に頼らないED治療として、「衝撃波治療器レノーヴァ(RENOVA)治療」や「陰圧式勃起補助具ビガー(Vigor)2020治療」が新たに開発され、注目されています。ED治療の指針となる「ED診療ガイドライン(日本性機能学会/日本泌尿器科学会編集)(※5)」において「PDE5阻害薬(ED治療薬)が無効または禁忌のED患者に対してどの治療法が有用か?」について解説があります。その中では、「身体に注射やメスを入れない治療」では、「衝撃波治療器レノーヴァ(RENOVA)治療」と「陰圧式勃起補助具ビガー(Vigor)2020治療」が有効で副作用の心配がないとして推奨されています。
(※5)→ED診療ガイドライン第3版 (jssm.info)
〔衝撃波治療器レノーヴァ(RENOVA)治療〕
レノーヴァは、ED治療における衝撃波療法の最新型装置で、イスラエルのダイレックス社が開発しました。世界70ヶ国で導入され、10万人以上の治療実績があり、世界的に注目されている治療器です。ED診療ガイドライン(日本性機能学会/日本泌尿器科学会編集)(※5)において、ED薬が無効または禁忌の方への第一選択治療として有効性が期待でき副作用がなく極めて安全と紹介されています。さらに、国内未承認ながら、日本での使用は医師の判断での輸入、処方が可能と紹介されています。
〔陰圧式勃起補助具ビガー(Vigor)2020治療〕
ビガー(Vigor )2020は持病または服用薬の禁忌のためED薬を服用できない方が満足できる性行為を行うための勃起補助具として開発されました。しかし、近年は勃起するための補助具としてだけでなく、陰茎への酸素による血液流入増加による陰茎血管機能改善で勃起機能の根治治療を促進する陰茎リハビリテーショントレーニングとして第一線の新しい治療法(※6)になりつつあります。
(※6)→陰圧式勃起補助具「vigor(ビガー)」:【ビガー2020】と同等の陰圧式勃起補助具(VED)又は真空収縮装置(VCD)を用いた臨床研究・論文発表一覧 (aandhb.com)
ビガー(Vigor)2020治療について詳しくは以下を参照ください。
→薬を飲まない!通院不用!厚生労働省認可の新ED治療【陰圧式勃起補助具 ビガー2020(vigor2020)】をご存じですか?当院のビガー治療はどのような方に合うのかを解説
《最後に》
当院は、10年以上の診療実績、60万件以上の診療件数のあるユナイテッドクリニック・グループに所属しており、ユナイテッドクリニック・グループでは豊富な治療経験に基づく安全性・有効性・経済性に配慮したED薬治療(※7)を目指しております。勃起力に衰えを感じた際には、お一人で悩まず、当院の専門医師に、お気軽にご相談ください。来院不要のオンライン診療(※8)を含め皆様のご来院を心よりお待ちしております。
(※7)→安全性・有効性・経済性に配慮したバイアグラの入手方法を解説
(※8)→ED治療のオンライン診療とは?バイアグラやレビトラなど処方可能な治療薬も紹介
当院はレノーヴァ治療を開始予定です。
なお、ED薬に頼らない「ビガー(Vigor)2020」治療を実施しております。
お問い合わせ先:ユニティクリニック上野院(0120-123-527)
監修者
院長 髙嶋 政浩
平成元年 | 杏林大学医学部医学科卒業 |
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平成元年 | 杏林大学医学部附属病院 |
平成8年 | 西部総合病院皮膚科・形成外科部長 就任 |
平成12年 | 大手美容外科クリニック |
令和3年 | ユニティクリニック |